小悪魔れんあい




「麗奈ちゃんは…」


と、玲さんは続けた。
さっきよりもはるかに真剣な眼差しであたしを見つめながら。


「さっきの彼と、もう付き合ってるの?」

「…え?」

「…付き合ってるの?」

「……いいえ、付き合ってないです」



あたしの言葉に、安心してくれたのか。玲さんはほっと安堵のため息をついた。

そして、さっきまで固かった表情が一気に柔らかくなった。


「麗奈ちゃん、君はまだ分かってないんだ」

「…え?」

「君には、まだ幸せが訪れるから…」


そっと、あたしの頬を撫でる玲さん。その手が震えてるのに、あたしはすぐに気付いた。


あのいつもの強気な玲さんが。
ここまで弱ってるなんて、それこそ信じられない。


一体、何がどうしたというのだろうか。
ううん、それよりも。

玲さんがあたしに伝えようとしていることは、何なのだろうか。


「玲、…さん?」

「ごめんね。俺が叫心の代わりになろうか?」

「え!?あ、いや!いいですよっ…!」


玲さんのこれまた突然の驚くべき言葉に、あたふたして答えると、玲さんはおかしそうに笑った。


「はは、っ…冗談だって!いや、麗奈ちゃん…可愛いっ…!ははっ…」


……、この人はっ…!
本当に、何考えてるのか全くわかんないや。


「けど、安心した。うんとか言ったら犯してやろうかと思ってたからさー」


うーんと伸びをしながら、ものすごいことをさらっと話す玲さん。



やっぱり、…謎。