あの時。

彼から伝えられた言葉は紛れもない事実で。あたしがどう否定しようとも、それは変わることはない。


ただ、思うのは。
あの日見た夢は、正夢だったのかと。それを、日々恨むのみ。














叫心は、絶対に大丈夫。
そう、思い込んでた。あたしのことを嫌いになるなんて、そんなのあるわけないっていつも言ってくれてた。

だから、安心してたんだ。
決してそんなこと、あるわけないのに。


叫心から別れを告げられた日のことは、全然覚えていない。ただ、記憶にあるのは叫心があたしを家まで送ってくれたこと。

叫心とあたしの歩く距離は、離れていた。
それが、余計にあたしの記憶を消していく。余計に、あたしに別れの現実を突きつけてくる。


どれくらい涙を流したかな。どれくらい、叫心との思い出を思い出したかな。


もう涙はないよって、瞳があたしに訴えかけてくる。だけど、流してって。


涙くらい流してないと、叫心との思い出は消えていってくれそうにはないの。


「麗奈、あんた…疲れてる?」

「…愛!」


ボーっとしながら、教室に座っていると。愛が心配そうにあたしに駆け寄ってきて、前の席についた。



「疲れてる?何でー?」

「いや、だってさー、目…腫れてるもん!」

「え、ウソ!寝不足だからかな!?」


鏡を見て、目を確かめるフリをする。
あたし、愛の前で笑えてるかな。涙出てないかな?



言えない。愛に言ったら、もう絶対泣くことをやめられるわけがない。


その前に、まだ別れを理解できていない自分がいる。