「な、にやって…んだよっ!」


無我夢中で、俺は麗奈の上に跨っていた男を押し倒す。


「なに、あんた誰?」

と俺に詰め寄ってくる男たちに、俺は殴りかかる。


「お前ら、頼まれたんだろ?」

「何言ってんだよ!せっかくのお楽しみだったんだから、邪魔すんじゃねぇよ!」

後ろから俺に殴りかかってくる男を俺はすぐさま避け、そのまま足を引っ掛けて転ばす。


「早くどっか行けよ」

「っ、何だよ!お前っ…!」

「こ、こんなの聞いてねぇしっ!」



男達は口々にそう言って、慌てながらその場を去っていく。

ほんとは追いかけてでも、あいつら全員を殴り飛ばしてやりたい。だけど、今そんなのしたら不安で恐がっている麗奈を一人にしてしまうことになる。

それこそ、最低だ。最悪だ。


…だけど、こんな目に合わせた俺は…





もっと、最低だ。


なんだよ、俺。全然守れてねぇじゃん、麗奈のこと。何が、もう不安にさせない…だよ。何が、誓う…だよ!




俺は唇を噛み締め、ぎゅっと拳を握る。さっき男を殴ったその拳はジンジン…と痛みが残っている。


「…きょう、しん…」

「…、麗奈…!」


後ろを振り返ると、まだよく状況が理解できていないのか。かなり体を震わせて、瞳はキョロキョロと泳いでいる。


はだけた服。それを押さえる細い腕。葉っぱや枝で傷ついたその体。



見ていると、何か熱いものが込みあがってくる。



「…、麗奈」

「……?」


俺はそっと近付いて。
カタカタと震える麗奈の服を優しく戻しながら、言葉を零していく。


そして、決意を固めて。






「…俺達、別れよう」







どんなときでも、決してその言葉を口にしたくはなかった。だけど、こうでもしなきゃ俺は麗奈を守れそうには、ないみたいだ。