キーンコーンカーン…と、予鈴のチャイムが学校中に鳴り響いた。
「あ、戻らなきゃ…」
「おう!また、な!」
「うん、バイバイっ」
麗奈は笑顔で俺に手を振って教室を出て行った。
そして、その入れ違いに真実が教室に入ってきてそのまま俺まで近付いてくる。
顔の表情は一切こちらから伺えない。
ズンズンズンと、無言で近付いてくる真実。
「お、おい…真実っ?」
「叫心!」
と、俺の目の前でピタっとその歩んでいた足を止めた。
「っ、何だよっ…」
俺が返事するのも聞いていないのか、真実はなにやらごそごそと鞄をあさり始めた。
「叫心、最近暴行魔がこの辺りにいるらしいよ」
「暴行魔?」
な、んだそれ。
通り魔みたいなもの…なのか?
「そりゃあ、危ないな…」
「うん、でね!麗奈ちゃんも危ないじゃないかって思って」
「は?」
麗奈、が?
何で急に真実はそんなことを…。
「これ、さっきそこの廊下で拾ったよ?」
「…、!」
バッと目の前に出された一枚の写真。
そこに映っていたのは暗い夜道を一人で歩く麗奈の姿。
「拾ったって、…!」
なんでそんなに都合よく、学校に写真が落ちてるんだよ…!
「真実が思うに、きっと犯人は学校の人じゃないかな」
「…は?学校のやつ…!?」
「うん、麗奈ちゃんを好きな誰かが写真撮ったんだよ」
と、そういう割にはあまり心配そうに言わない真実。そんな様子を見ていると、なんだか怪しく思う。
「叫心!」
「…?」
「気をつけてね。彼氏でしょ?守ってあげなよ」
真実はニヤッと笑うと、そのまま何故かルンルンで自分の席へと向かっていった。
絶対怪しい。昨日の今日なのに、こんなに機嫌がいいのもおかしいし。まるで、何かを仕組んでいるかのような…その様子。
もしかして…、と俺の中で。
嫌な予感が頭を過ぎった。

