全国大会への予選まであと数日…と迫ってきていた。
俺らサッカー部はみんな順調に練習に励んでいたし、今のとこ怪我も病気も誰もしていない。
これなら予選で勝って、全国ではいい成績を残せそうだ。
「おい、叫心!」
雄大に呼ばれて、俺はボールを蹴っていた足をとめて振り返る。
「スタメン決めるから、集合だってさ」
「おう、分かった」
俺はボールをゴールの方に寄せ、そのまま雄大の後をついていくようにミーティングルームへと向かった。
ミーティングルームに着くと、みんなはもう到着していて、何故かその中心部分には真実の姿もあった。
「お、い!」
「あ、叫心おそーい!」
「うるせ!ていうか、何でお前がここにいるんだよ?」
「えー?」
俺はワザとらしく首を傾げる真実に聞いても無駄だと分かり、目線を長塚に向けた。
すると、長塚は気まずそうに笑って。
「そ、れがさ…」
ポツリと、話し始めた。
「え、?ま…みもでる!?」
俺がすっとんきょーな声をだして長塚を見ると、長塚はコクンとうなずいた。
「ちょ、待てって!こいつ…女だぜ?」
「うるさいなー!性差別するなー!」
と、まぁうるさい真実はほっといて。
「いやいや、性差別とかの前に規則があるだろ!」
そうだよ、いくら真実が上手だからと言って。それを大会のルールが許すはずがない。
いや、反則負けとかにでもなったらどうすんだ!
「あ、だから…真実さんには男装してもらって…」
「だ、んそう……?」
唖然として真実の方を振り返ると、真実は「そうなのー!」なんて言って笑いながらピースサインをしていた。