昨日帰った思い出…といえば。
俺が拗ねたってことしか、思い浮かばない。

いや、ほんとかっこ悪いのだけど。


「実はさ…」

俺は話を聞きたそうにウズウズしている雄大に、少しずつ話を進めていく。


「昨日…、高橋がさ」

「うんうん!」

「…その…、さ…佐野とさ」

「…うん?」


明らかにその名前を出したら、声色が変わった雄大。

俺だって、出来ればこの名前は出したくない!


「…高橋が喋ってるとこ、直視しちゃってさ…」

「ああー!、家政婦は見た!ってやつだねー」

「……」


ほんと、意味分かんない。


「いや、マジで二人って付き合ってたんだ…って分かったら…」

「叫心は、拗ねちゃった。と?」

「!、う…うん」


核心を突いてくる雄大に、俺はドキー!っとさせられながらも、一応その通りなので頷く。


「だから、結局はあんま喋れてない」

「ま、じ、で、す、かー!!」

「うん。あ、でも…」

「でも!?」

「グランドで、応援してもいい…とは言ったけど」

と、俺がそう言うと、何故か目に大粒の涙を溜めながら雄大は俺を見つめてくる。



「な、なんだよ?」

「よくやった!それでこそ、男だ!叫心!」

「う、うるせーな!ほっとけ」


俺はしつこく泣きながら付きまとう雄大をほっていきながら、自分の教室へと向かった。