「え!?叫心、ついに高橋と一緒に帰っちゃったの!?」
朝練が終わって、俺は部室の中で着替える。
そして、昨日のことを親友(?)の小林 雄大に伝える。
ほんとは、嫌だけど。恥ずかしいけど。
言わなかったら、後々めんどくさいことになりそうだし。
だけど、帰ってきた返事は予想していた以上にうるさいし、声がでかい。
まぁ、他の部員はもうみんなそれぞれの教室に向かったから全然いいんだけど、さ。
「いや~、叫心もとうとう大人の階段を上っちゃったかぁ…!」
「なにそれ、意味わかんねぇ」
なんだ?その大人の階段って。
一緒に帰っただけじゃないですかー。まるで、恋が叶ったかのように言わないでくれますか?
「じゃ、やっぱ昨日迎えに行って正解だったんだ?」
「…おぅ…」
そうなのだ。
一緒に帰ったと言っても、昨日空き教室で応援していた高橋を迎えに行ってやれと、雄大が俺にアドバイスしたから、俺は高橋を向かえに行ったんだ。
雄大のあのアドバイスがなけりゃ、昨日はきっと一緒に帰ってなかったはず。
その点は、雄大に感謝してるけど。
「で、どうだった!?」
例えれば、もうタチの悪いパパラッチのように俺から話を聞きだそうとする雄大。
そんな感じだから、こっちもこっちで話したくない、とちょっとだけ思ってしまう。
「いや、…別に普通だけど…」
「手、繋いだ!?」
「…いいや」
「キスした!?」
「何で手も繋いでないのに、いきなりそっちに飛ぶんだよ!」
と、雄大の言葉に俺は過敏に反応してしまい、思わず突っ込んでしまった。