「はぁ…」
あれから数分後、今はもう制服に着替えて学校へと向かっている途中。
叫心は今頃朝練のはず。
だけど、どこかまださっきの夢が抜け切れてない。
あたしが叫心と付き合ってるか、すごく怖い。
「…たかが、夢だよ…!」
あたしは自分に言い聞かせるようにして気合いを入れて、学校へと歩みを進めた。
「麗奈ちゃーん!」
だいぶ学校に近づいたころ、校門から誰かが走って駆け寄ってくるのが見えた。
「げ、長塚さんっ…!」
「聞いてよー!!」
半泣きであたしに飛びつく長塚さん。
長塚さんとはいろいろあったけど、長塚さん曰く、今は小林君一筋らしいからあたしとも普通に喋ってる…らしい。
「どうしたの?」
「雄大がねっ…!浮気だよー!!」
うわんうわん、声をあげて泣く長塚さん。
あ、この長塚さんと小林君はいつの間にか恋人同士になっちゃったみたい。
小林君は、脅された!って半泣きで言ってたけど。
まぁ、長塚さんならやりかねないんだけどね。
でも、あたしは二人はすっごくお似合いだなって思うし、叫心とあたしと長塚さんと小林君でWデートだって出来たらいいなって思ってる。
「ちょっと、落ち着こう?小林君が浮気するような人に見えるの?」
「う…ヒック…。だって、朝練で知らない女の人が急にサッカー部に来て…その人とすごくいちゃいちゃするんだよ?」
「女の人?」
「うん…。すっごく可愛かった…。あたし以上かも…」
…基準はあなたですか。長塚さん。
「と、とりあえず!小林君は?」
「知らない!置いてきたもん!」
ぷーっと頬を膨らませて怒る長塚さん。
可愛いヤキモチを妬くときもあるんだなぁ…なんて思ってみたり。
そうして二人で話していると、前から小林君が勢いよく走ってきた。