「…何か…あったか?」
あれから叫心も戻ってきて、叫心の部屋で楽しく話しをしていた。
楽しく…のハズだった。
一気に雰囲気を変えたのは突然の叫心からの質問だった。
「え?…何もないよ?」
「…放課後から元気ないけど…」
放課後って…、暁羅の時からって事…?
あたし…そんなに顔に出てるのかな?
…叫心が心配してるじゃん。…あたし、最低。
「何もないよ?」
叫心を更に不安にさせないようにと必死に笑顔を作る。
「…俺ってやっぱり頼りない?」
「え?!」
だけど、あたしの努力は無駄で。それがさらに叫心に不安にさせてしまった。
きょ…叫心…!
そんなこと、あるわけないのにっ…!
「…長塚の時…お前は俺に隠してたし…」
"隠してた"
その言葉にあたしは過敏に反応してしまう。
「…あの時は付き合ってなかったから…迷惑かけたくなかっただけだよ!」
「…でも、それでもやっぱりあれは俺のせいだったし…」
「叫心は本当に何も気にしないでよっ!叫心がいるだけで元気になれるんだから!」
あたしが笑ってそう言うと、叫心も少しだけつられて笑った。
「でも…、辛い事とかちゃんと言えよ?」
「うん!もちろん!」
ごめんね。叫心。
やっぱり、言えそうにもないよ…。
…だってね?
今のあたしにとって一番辛い事は、叫心との"別れ"なんだよ?
それ以外に辛い事なんてないの。
叫心にこれ以上心配させたくない。
暁羅との事は、なかった事にするんだ…!

