「叫心!家に女の子なんか連れてきちゃってー!成長したなっ?このやろっ」
そう言って叫心の頭をつつく玲という男。
「きもいって!!可愛ぶんなよっ!」
叫心はすっごく嫌そうな顔してその手を払いのけた。
「…き、叫心?…え…えと…」
当のあたしは、状況を理解出来ずにアタフタしている。
「あー…、これが多分その喫茶店の奴の正体」
すると、そんなあたしに気付いた叫心は気まずそうに紹介してくれた。
「どもーっ!叫心のお兄ちゃんの玲ですっ」
またまたニコッと笑う玲さん。
その笑顔はあの時と全然変わらない。
「あぁ!お兄さん……って…」
えぇーっ!?!?
「おおおお兄さんですか?!」
あまりの真実を知った事であたしは吃り始めた。
「はい、そうなんです!お兄さんやってますー」
「だから、兄貴はいちいち話し方がきもいんだよ」
「そんなきもいお兄さんの弟なんだよ?叫心は」
会話をする二人をよそにあたしの思考回路はストップする。
だって、だって!
ちょっと待ってよ…!!
お兄さんだったなんて…!
どうしようっ…!!
あたし、すっごく最低な態度とった…!!
思い詰めるあたしに叫心は気付いた。
「麗奈?…どした?」
「あ、あたし、お兄さんって知らなくって…!…ご、ごめんなさいっ!!」
あたしは大きくお辞儀をして謝った。
いくら優しい玲さんだって、あんなあたしの態度を許してくれるはずないよー…!!
辺りは一気に沈黙と化した。

