「あ…暁羅!?」

「何?」


あたしが返事に困っていると、暁羅はあたかも当然かのようにあたしを抱きしめてきた。



「ちょっとやめてよ!!!」


バンバンっ!と、暁羅の胸板を叩くが、暁羅の更に強い腕の力によって抱き締められてしまう。



「暁羅、彼女いるでしょ!?」

「…麗奈と別れてから、ちゃんとした彼女なんか作った事ねぇよ…」

「は?!…い、意味分かんないし!、…からかわないで!」

「からかってねぇよ!」



暁羅の強い声にあたしは怯んでしまう。




「…やめてよ…!…あたしは暁羅なんかとこんなこと…したくないっ…!」


何…?
ほんとに今、いったい何が起こってるの?!



叫心…、お願い。


早くきて…。







「…麗奈…、嫌?」


暁羅のこの質問にあたしは唖然とする。




「あ、当たり前でしょ?!…離してっ!」



勢いよく暁羅を押すと、暁羅の腕の中から離れる事が出来た。





「…暁羅の事…ちゃんと好きだった。…でも、今は叫心なの。叫心しか好きじゃないの!」



むしろ、暁羅の方があたしを本当に好きだったのかを聞いたいくらいだ。

いつも浮気ばっかりして、あたしの方を見ようともしなかった暁羅。

…なのに、今さらこんなこというなんて…!




「…何でだよ…。」


「…暁羅…どうかしてるよ…!」

あたしは、溢れる涙をおさえながら制服を直す。



今思い浮かぶのは叫心の顔。
叫心しか思い浮かばない。




叫心に会いたい。


叫心に…。









あたしの願いが通じたのか、教室のドアがまた少し開いて…


「…麗奈…?」





愛しい人の声が聞こえてきた。