「…玲って奴の事…知りたい?」

俺は観念したように、そう言う。
麗奈は、驚いたような表情を見せたが、少し嬉しそうにもしていた。


「…うん…」

「…じゃあ今日俺ん家おいで」

「叫心の家?」

「…そしたら嫌でも分かるから」


だって、お兄ちゃんだもーん!
あの人は、家にずっといるもーん…!

一体何の仕事してるか、謎だらけでわかんないんだもーん!


俺がそういったら、急に麗奈の表情は明るくなった。



「…部活…休むわ」

「え?!」



やっぱ、部活終わってから家きたら夜遅くなっちゃうかもだしな~。

ここは、早めに遊んどかないと。


と、思って提案したことだったのに。
麗奈は、大きく首を振ってその提案をあっさり却下。




「だ、だめー!休むのは絶対だめだよ!」



え。まじ拒否?
ちょっぴりショックなんですけどー。



「…だって、部活してたら遅くなるだろ?」

「…でも、だめ!」

そういっても、首を縦には振らない麗奈。


「…じゃあ、少ししてから抜ける!それでいいだろ?」

「…うん。終わりギリギリだよ?」


「ぷっ。はいはい、分かってますよ」


やっとオッケーがもらえても、それも終わりギリギリって…!なんか、考えることが可愛いなって思う。

絶対すぐ終わらせてやるー!
ていうか、ストレッチだけして終わろ。


麗奈の顔を見ながら考え事をすると、なんだかニヤケてくる。


「な、何で笑ってるの?」

「普通、部活休むのだめなんて言わなくね?」

「え…そ、それは…」



麗奈ってば、俺の言った質問に本当に真剣に考えるからまた可愛いんだよな。





「もう、いーの!叫心は部活しないとダメだからー!」


「何だそりゃ」



だけど、今回は俺が勝ったのだろうか。
麗奈は、頬を真っ赤に染めながら俺を教室の中へと押し込み、自分は颯爽とホームルームクラスへと帰っていった。