バサッ!
僕は飛び起きた。
『またか・・・』
僕は夢を見ていた、これを夢といって良いのだろうか。これは紛れもなく自分の過去のこと。何度も何度も繰り返してみる・・・・目覚める時は必ず、頬に涙が伝っている。僕は今、なんの為に生きているのだろう。僕の存在する意義はあるのだろうか・・・僕はひたすら考えていた。母が最後に呟いた『生きて・・・』と言う言葉。今は、それが、その言葉だけが、僕の存在意義なのもしれない・・・
 僕と同じようにきた子供が、12人いる。その中には、僕と同じように、両親を殺され、連れてこられたもの、両親に売られてくるものもいた。その中には、連れて来られた以前の記憶が全くない子供もいた。おそらく、両親を目の前で殺され、心を閉ざしてしまったのだろう。そんな寄せ集めの子供達と僕は兄弟となったんだ。
時の流れは残酷すぎる…ときどきそう思わせる時がある。母の死の記憶が、母が最後に呟いた言葉が、兄弟達と過ごしていると忘れそうになる。だからきっとあの夢をみるんだね。忘れないために・・・
カシャン!
グラスを合わせる音が部屋中に響き渡った。12の若者たちが杯を酌み交わしていた。
長兄のシモンを順にアンネ、バルト、アンデレ、ヤコブ、フィリップ、マタイ、サンティ、トマス、タダイ、ヨハネ、ユダ、そして僕。
『シモン。覚醒というものはまだ起きないのか?あいつらが言っていた。』
バルトがシモンに問いただした。
”あいつら”とは闇の住民達のことだ。我々は、闇の住民達を恨んでいた。両親を殺された者も、両親に売られた者も元を辿れば、闇の住人達がいたからだ。だから殺したいほど憎んでいる。
『・・・ないな・・・強いて言えば少し熱っぽいくらいだ。』
シモンは、苦笑い交じりに答えた。