我々は向かってくる闇の住人達を、次々になぎ倒して行った。覚醒とはやはりすごいものだ。闇の住人達の動きが手に取るようにわかる。やつらが、振りかぶる前に斬撃を与えることができる。しかし、数の差が歴然としている。いくら、覚醒したとはいえ、やはり全てを滅ぼすことはできなかった。
使途の唯一の弱点。首を跳ねる事。何千人もの闇の住人をなぎ倒していると、傷は癒えるが、疲れは取れなかったのであろう。一瞬の隙をつかれて、トマスは心臓を貫かれた。トマスの動きが一瞬、止まる。その瞬間次々に剣がトマスの躰を貫く。
『トマーース!!』
僕は、降り注ぐ、剣の刃を防ぎながら、そう叫んだ。
しかし、最後には首を落とされた。
その光景に気を取られたのか、次にヨハネが、幾度も幾度も腹を、胸を貫かれ、地に伏せる。みな、もう限界だ。タダイにユダに次々に倒れていった。みな、わかっていたのかもしれない。勝てるはずのない戦い。でも、これが我々の存在理由なのだ。戦のために創られた存在。戦うことでしか明日を見出せない。そしてついに僕も・・・八方から剣を突き立てられる。絶望の淵中、再びもう一人の自分が姿を現す。
『・・・・汝よ・・・・我が与えた力を使い切れていない・・・・力というものを汝に示す必要がある・・・・・見ているがよい・・・』
そうもう一人の自分が、言い放つと、再び眩い光が僕を包み込んだ。僕は、瞳を開けた。正確には、瞳が開いたと言って良いだろう。自分の意思で開けたわけではないのだ。躰を自分の意思で動かすことができないのだ。僕には、見ることしかできなかった。
目の前で起こる惨劇を傍観することしかできなかった。飛び散る鮮血、次々に視界から消える闇の住人達、景色が歪んで見える。すごい速さで移動しているのだ。一太刀で闇の住人達を数人なぎ倒していく。次々に倒れていく、闇の住人達。景色が止まって見えた頃、周りには、屍の山ができていた。そして、視界が暗闇に染まり、僕の前に再び、もう一人の僕が現れた。