精神の痛み。もうだめだ・・・早く楽になりたい・・・・誰か助けてくれ・・・シモン・・・・・その時、痛みが突然消えた。僕はついに、兄達の元に逝けたと思っていた。目を開けるとそこには、子供がたたずんでいた。その子供は自分だった。なぜだかわからないけど、そう認識した。その子供が、僕をじっと見つめている。
『汝に・・・・問う・・・・・』
子供が呟きかけた。その声は、先ほどから脳に響く声と同じだった。
『汝が憎むもの・・・・・それはなんだ?』
僕が憎むもの・・・何であろうか・・・母親を殺した、闇の住人。我々を創造した、闇の住人達。我々を忌み避けてきた民。そもそも人間自体・・・あるいは、自分の運命・・・・
僕には答えを見出すことができなかった。全てを憎んでいるようで、全てを愛しているようで・・・・
『・・・・わからない・・・・僕はいつも考えていた・・・・人は何故、激しい憎悪と深い愛・・・これ程迄相反する二つをもっているのだろうか・・・・未だに答えを見出せない・・・・いやこれからもずっと見出せないであろう・・・・人から生まれた、僕なのだから・・・・』
『・・・・なら、探してみよ・・・・人間とはなんなのか・・・人間は庇護るに値するものなのか・・・汝に私の力を授ける・・・・永遠という時の中で・・・考えるがよい・・・・・』
子供から、眩い光が放たれる。眩しさのあまり僕は瞳を閉じた。
再び目をあけると、其処には、兄弟たちが不安げな顔をして、僕を見つめていた。
皆、覚醒に成功したのだった。