月明かりが差し込んできて私は目が覚めた。
私は犯した罪を理解していた。私は自分自身を必死に抑えようとしていた。しかし、私は何もする事ができなかった。あの時、心と体が完全に離れていて、体はもう一人の自分に支配されていた。
私には意識だけ残り、みなが私の目の前で倒れていく姿をただただ見ていなければならなかった。みなは死んだに違いない。私自身で手を下したのだ。
何故私は生かされているのだろう。私が使徒だからなのか。私は自ら死ぬことすら許されず、足と手は施錠され身動きがとれず舌を咬みきろうにも、口も縛られて、舌すら思うように動かせないでいた。そんな時、彼が現れた。
『アンネ…』
私は声がする方に顔を傾けた。
『君は…今、正気なのか…?闇の住人たちは、あの時の君の顔が普段とは、全く別人…いや…人の顔ではなくなっていた…と言っていた……今は…今まで通り、僕の愛する君がいる。』
彼はここで言葉を切り、私の目をしっかりと見て、言った。
『あれは、君ではなかったんだよね…?』
私は、鉄格子に近づき、声を発っそうとした。縛られているせいで、舌が思うように動かず、理解できる言葉を発することができなかった。彼は察して口に結ばれている紐をほどいた。