数日後、完璧にクスリが抜けていたことに気が付いた。

とても清々しかったことを憶えている。僕は、はっきりとした自意識の中で君の名前を呼んだ。


――もう大丈夫――


僕は疲れ切っていた君をそっと抱きしめたんだ。やっぱり不思議なもので抱きしめているはずなのに、やっぱり抱きしめられているような感覚なんだ。あの時はとても安心しきっていた。

ねぇ萌香…いくら愛する者のためとはいえ…こんなにまでもして、ささえてくれる人なんて君ぐらいしかいないよ。もう僕が感謝してもしきれない。オーバーに言わせてもらえば、君に命だって注いでも構わないって思ったんだ。

暗闇が一層し、光り輝いた時、僕はそう心から感じた。


僕はこんなにも愛されているのだと。


僕も君もあの最悪な出来事から抜け出すことができたんだ。全ては僕の責任。君はそんな愚かな僕の全てを受け止めてくれた。
それから、憧れていた君との輝かしい生活が始まる…