あそこだけ別空間だ。
「ねぇ、氷真。何であのテニスコートだけ綺麗なの?」
あたしは、コートに顏を向けたままで言った。
「さぁ、よくわかんないけど今の理事長になったときからそうだって先輩から聞いたぜ?」
氷真はあたしの視線の先にあるテニスコートを見ると言った。
「理事長?」
何で理事長が?
不思議に思ったあたしは氷真の顏を見た。
「あぁ、何か思い入れがあんじゃねぇの。理由はわかんねぇけどテニスコートだけは週1で綺麗にしてんだよ。」
「ふーん。」
あまり納得はいかなかったが、氷真もこれ以上知らないだろうと思い何も聞かなかった。