それなのに、あたしの前には馨が立ちふさがっている。




いつの間に…




「真城、勝手に行くなよな!」




馨は拗ねたように言った。




「なんでよ。もういいでしょ。」





あたしは馨横を通りすぎようとした。




が…………




馨が退いてくれない。





「真城、冗談抜きで危ないから家まで送るよ。女の子が一人なんて襲って下さいって言ってるもんだ。」




そう言った馨の目は真剣だった。




それでも、あたしの気持ちも変わる気はなかった。




初対面の人に送ってもらう義理なんてあるわけない。