風神I





「風雅のことが好きなの?」




「当たり前でしょ!!だからあんたは邪魔なの!!」




女は馬鹿じゃないの!?という視線で見てくる。




「あたしは恋したことないし、誰が誰を好きになろうが関係ないけど、これだけは言える…」




あたしは女を睨んだ。







「あんたのは、恋なんかじゃない。」




「何でそんなことっ!!」




「きれいごとかもしれないけど、恋は見た目でするものじゃない。」




あたしは一呼吸置いて続ける。








「あたしは、最後までお互いを思い続けた人達を知ってる。だからこそ言える、あんたのは恋じゃない。」




今、あたしの頭の中には二人の男女がいた。




二人で寄り添っていつも優しく笑っていた人達。




あたしの尊敬する人達だった。