風神I





「そうかしら?総長なんて肩書きだけよ。」




水埜さんがおかしそうに言う。




「肩書きだけなら皆ついて来ません。水埜さんを認めてるからこそ付いてきてくれるんですよ。」




あたしの言葉に水埜さんは一瞬驚いた表情をする。




でもすぐに嬉しそうに微笑んだ。




「そうだといいわね。」




その時の水埜さんの笑顔がすごく綺麗だった。








「実はね、あたしが総長を任されたとき反対の声が多かったのよ。」




「え?」




水埜さんの言葉にあたしは目を丸くする。




「総長が女だなんて舐められるに決まってるって。」




水埜さんの表情は少し寂しそうだった。