風神I





「はぁ?お前風神も知らねぇの?」




「知らん。聞いたこともない。」




「マジかよ…。」




大五郎は、呆れたあと少し困ったように笑いながら言った。




「風神っつうのはあれだよ、その…」




「あれってなんだよ。」




少し間をとって、大五郎は観念したかのように言葉を続けた。





「……………………暴走族。」





「ふーん。」




「ふーんってそれだけ?」




「他にどんな反応すればいいのよ。」




「イヤ、てっきり怖がるかなと…」




「別に、あたしに関係ないし、どうでもいい。」




「どうでもいいってお前…。風神は全国No.1の族だぞ?へたすりゃ自分に危害が加わるかもしんねぇぞ?」




「誰とも関わる気ないんだから危害なんてあるわけないでしょ。それにあたし逃げ足は速いし。」




あたしは平然と答えた。