桜色を覚えた絵


世の中お花見を嫌いな人は居ないと思う。

いや、会場の付近の住民は迷惑することもあるのだろうけれど、お花見自体はなかなか嫌えないはずだ。

だってこんなにも簡単に心が洗われて神経がふにゃりと落ち着くことはなかなかないのだから。


「綺麗」

「ん、めっちゃ桜……」

何もしがらみなく穏やかに過ごす午後は贅沢で有意義で最高で、うまい言葉が浮かばない。

小学生の時にどんぐりを集めて道標にして遊んだ時とか、

ジャングルジムのてっぺんからサッカーボールを落として変な方向に跳ねるのを見た時みたいに、とりあえず無垢な自分になれる気がする。