桜色を覚えた絵



「な、転んでみよ」

勢いよく仰向けになった洋平が促すから、結衣もレジャーシートに寝転んでみた。

お尻から下は地面にはみ出ているからふくらはぎの裏は小石がちくちくして痛いのだが、

その感覚を記憶しておきたいと願う自分は、この先洋平以外と付き合う発想がないみたいで少し自分に引く。

恋愛と書いて洋平と読むことがお花畑の国ではきまりごとになってしまっていた。


落ちてくる花びらは予想しないワルツを踊るから、すっかり二人は魅力され口数が減るばかり。

空を舞台にダンスをする桜たちは綺麗で、恋人たちを包んでいく。

「きれい」