漆黒に散らばる花びら、お重は桜が飾られて芸術的に完成するのだろう。
「石?、なんかお尻痛いね、でこぼこ」
「へ? 俺普通、生地ごついかな、頑丈だな」
半笑いで得意げに太ももを叩き、デニムの性能を自慢してくるところは馬鹿らしくて好きだし、
ブーツにあえて桜色を選ぶのは自分にピンクが似合うことを知っているナルシシズムがあるからで、結衣は彼をオシャレだと思っている。
今日の私服もクラスメートの男子より絶対にセンスが良いせいで、
お花見をしている同級生くらいの女子から、彼はちらちらとチェックされていた。



