桜色を覚えた絵


ずっとずっと厚かましくも洋平の記憶に存在していたいと願う気持ちを、夢見がちと言わずに何と言う。

自分たちはただの高校生で、ただ付き合っているだけで、いずれ別れるかもしれない関係の癖に、

一過性の恋を永遠と呼びたくてたまらない。

大人たちに馬鹿馬鹿しいと笑われても、やっぱり今ここに居る人が大好きだ。


カメラを向けられて笑う結衣に洋平が笑ってくれるなら、明日も明後日も彼を好きになり、

そうなるとたちまち昨日や一昨日を美化してしまう結衣だから、やっぱりますます洋平に恋をする。

それは桜たちしか知らないこと。