桜色を覚えた絵


枚数を確保する為に撮らない時は仕方がないので忘れないよう瞳の底に記憶するべく頑張って真剣に今と向き合ったあの感覚が淡くて愛おしい。

デジカメのように大量に撮れないから、スポット別に友達と撮る担当を決めるという協力をしたあのアナログ感が可愛くて大事。

写りが悪かろうが確認なんかできなくて、現像したものがピントずれだったり半目だったりしたあのくだらなさが逆に大切。


そう、便利になるだけ結衣はからっぽになってしまうから、だからあんまりデジカメのシャッターを押せないでいる。

せっかく洋平と来たのだから、高校三年生で一番良い思い出になるのだから、

たくさん撮りたいのに胸がいっぱいで写真を撮る余裕がない。