花びらたちが頭の上から降って靴の先で回る。
お花見をする時は背中にあったかいお日様が浸透するから、自然とより接しているような気がした。
手の平に桜色を保存している結衣は不意に視線を感じ、まつ毛を持ち上げるとすぐに好きな人と目が合った。
「ずーっと綺麗だね、」
涙袋を柔らかく膨らませて穏やかにはにかんでくるから、彼女もだらしなくにやけてばかり。
「うん、ずーっと、ぼーって、見れる」
洋平の声は恋心を喜ばせるばかりで、単純に頬が赤く染まってしまう。
斜め左を見上げることが習慣になりつつあることは、幸せを知る方法でしかない。



