桜色の世界は恋が似合う。
恐らく好きな人がいる者なら皆が知っていることで、もはや常識だと言っても嘘にはならない。
ピンク色の中で瞼を閉じれば、唇に触れた甘味が春の意味を教えてくれる。
花びらをたくさん髪の毛に飾ったなら、女の子は可愛くなる魔法がかかるみたいで、
そうなると不思議なことに男の子は夢の国に連れていってくれるらしい。
「来年も来よっか」
「うん」
美しい桜は恋人たちを支配するから、ロマンチックないかれた頭にさせる。
「そろそろ帰ろっか」
――――そう、青春臭いキスをさせてしまうくらいに。