クリーム色の真新しいアパートを見上げ、桜は感嘆のため息をもらした。

想像以上だ。

「すっごーい!」

自分でも幼稚な語彙だとは思ったが、あいにくボキャブラリーが貧困なので仕方がない。

重い段ボールを抱えていても、桜の頬は緩みっぱなしだ。

加藤さん愛してる……っ!

一足早く地方の実家に帰ってしまった加藤に、桜は心中で熱烈な愛の言葉を捧げた。