「了解。このアパート、なんと1部屋まだ空きがあるそうです」

「マジですか!? じゃあ大家さんに事情話して……」

「はい、こっから悪い知らせね。空いてるには空いてるけど、実はこのアパートの家賃、これでしたー」

桜が右手の人差し指を立てた。

左手は広げられている。

確か、不動産会社の話では3万円だったはずだ。

桜の両手を穴が開くほど凝視した後、有馬は微かな望みを託して呟いた。

「ろ、6千円?」