「長野はさ、部活入らないの?」

「今のところは。家事とかしなくちゃいけないから、忙しくて」

「そっかー。大変だな」

そうでもないよ、と言いながら階段を下りる。

「寺内君は?」

「俺も迷い中。とりあえず今日は帰るけど」

「何かあるの?」

私の問にはそ、としか答えなくて、そこから何も聞くなというような雰囲気を感じ取って私は口を噤んだ。

缶がぶつかり合い高い音を出している。

歩く度に揺れる袋の中身をただ単にぼうっと見つめてた。

私は裏玄関から上履きのまま出てその付近に置いてある大きなコンテナの中にゴミを入れる。

少し気まずい雰囲気のまま、私と寺内君は下駄箱へと向かった。