「その女、どうするんだ?」



ヴィスは怪訝そうな顔で金髪の女性を睨む。
光が強すぎて、受け付けないんだろう。確かに、この女性は光が一段と強い。闇の奴らが見れば、一目で分かる程だ。



「だめだよぉ。その女だなんて言っちゃあ。この国のお姫様なんだからさぁ?」



なんでそんなお姫様がこんな庶民が行き交う街でノコノコと一人で歩いているんだか。普通一人で歩かせないよねぇ。



「お姫様、ね。」



光が強すぎる理由が分かったのか更にしかめ面になるヴィス。

あたしはため息を付きながら、今日泊まる部屋を見渡す。飲みかけのミルクに飲みかけのコーヒー。先ほどまでは湯気が立っていたが、今はもう立っていない。




「ヴィス、コーヒー飲んじゃったら?この子、面倒なことにそろそろ起きそうだからさあ。」


「起きそう?」



「そ、起きそう。怪我を負わせた訳じゃないし、意識失っただけだからもう、起きる。」



あたしはンッと眉を寄せるお姫様を見る。起きたからって逃げれる訳じゃないしねぇ。放っておいても何の害もないねー。



あたしはもう冷めたミルクが入っているカップを手に取り、対して座り心地のよくないソファに身を放り投げた。




お姫様が頭を押さえながら上半身だけ、ベッドから起こした。