その週末、私は千夏ちゃんと遊びに出かけた。


「紗枝、今日かわいいじゃん。なんでいつもそうしとかないの?」


千夏ちゃんが言った。


今日の格好は、膝上のワンピースに下ろした髪。だいたいロングかセミロングの間くらいの長さ。

学校にいる時の私じゃあり得ない姿だ。


「別にかわいくなんかないよ。」


照れで思わず怒ったように言ってしまった私を、千夏ちゃんはジト目で見た。


「素材は良いんだから、もっと勉強ばっかじゃなくてそっちの方も磨きなさいよ。」


「分かってるよ。ところでさ、千夏ちゃん。」


面倒な話を急速に切り替える私。千夏ちゃんの方をむく。


「…私ってツンデレかな?」


「はあ?なんでまた…。」

唐突な疑問に千夏ちゃんは目をぱちくりさせた。


「だって…広川くんがそう言ったから。」


「広川って、副委員長の?」


コクンと頷く。


「まあ、確かにどっちかっつーとツンデレよね。」


「そうかな?私無自覚だよ。」


髪を弄りながら私はうなだれる。


「そりゃ自覚あったらおかしいわよ。…しかし、広川がねぇ。アイツ確か哲士と同じ野球部よね。凄くセンスあるって哲士が言ってたわ。」


「そうなの?」


初めて知る事実に驚く。


「そうそう、確かポジションは…」


「あれ、千夏?」


男の人の声が、背後から聞こえた。


「あ…哲士!」


そこには、内海くんがジャージ姿で立っていた。