「それにさ、柊のリードのおかげでもあるし。」


リード?


何それ…と首を傾げていると、柊が私の方を向いて笑った。


「リードっつーのは、ピッチャーに次にどんな球種を投げるか…どこに投げるかを指示することだよ。」



「そ、そうなんだ…。」



恥ずかしい…。

彼氏のポジションの事は、何よりも覚えておかなきゃいけないことなのに。


こんなんじゃ彼女失格だよ…。


私が落ち込んでいると、柊は私の頭をぽんってしてくれた。


「これから覚えていけばいいさ。」


そして、柔らかく笑った。


「そーだ!!」



後ろから、大きな声が聞こえた。

石田先輩だ。



「中山さん、マネージャーにならねー?」



「え…。」



私は目を丸くした。



「ちょうど去年からマネージャー卒業しちゃって居なかったんだよ。どう?」