キス、広川に見られちゃった…。 初めてだったのに。 「中山、大丈夫か…?」 途中止まって、優しい声音で広川は言った。 「五限目サボろう。中山も受けられる状態じゃないだろ?」 言葉の代わりに私は頷いた。 人生初めてのサボりだったけど、そんなことはどうでもよかった。 屋上に着く。 「ここなら大丈夫だろ。」 辺りを見渡して広川は言った。 どうして、広川はあの時来てくれたんだろう。 どうして、広川はこんな私に優しくしてくれるんだろう。 「もう、思わせ振りなことは止めて…。」 小さく呟いた。