「女泣かしてでもキスして、それで満足かよ?」
自分の頬に手をやる。
確かな、水の感触。
私、泣いてたんだ…。
広川が、健吾くんの胸ぐらを掴む。
「お前、人を好きになる資格ねえよ。」
そう吐き捨て、放心している私の手を引いて駆け出そうとしたそのとき、健吾くんが言った。
「広川に何が分かる?」
振り向く、広川。
「片思いの辛さなんか知らないお前に、何が分かるんだよ!!」
その言葉に、広川は言った。
「それくらい俺にだって分かる。勝手に決め付けんな。」
そして、私達は健吾くんを残して空き教室を出た。
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