しばらくして、広川が微妙な表情で戻って来た。



「…わり。」



相変わらず、ムッツリしてる。



いつもは無邪気で優しげな表情しか浮かべない広川なのに、一体どうしたんだろう。



そんな時、教室のドアが開いた。




「あ、柊〜!!今日一緒に帰ろうよ〜!!」




飛び込んで来たのは、いつも広川の周りにいる取り巻きの1人。



……広川のこと、名前で呼んでるんだ。



「いや、今日は委員会だから。」



なだめる様に言う広川。



加えての悩殺スマイルに、その女の子は浮き足で帰っていった。




…何それ。



私の前ではムッツリしてたクセに、あの女の子の前ではあんなに甘い顔するんだ。




「ふーん…、広川あの女の子が好きなんだ。」




内心、自分の言葉にズキンとくる。


でもなんだかイライラしちゃって、嫌な気持ちが私を支配する。



「違うって。ただアイツが寄ってくるだけで…。」



慌てて否定している様が、更に私を悲しくさせた。




「別にフォローしなくてもいいよ。分かってるから。」


私はツンとして言った。