そして、広川のところまで行き…
「ありがとう。」
そう、呟いた。
「俺はアイツらに話ししただけやけど?」
そんなことを言う、広川のいたずらっぽい表情にまでドキドキしちゃうなんて…
私、相当広川の事好きになってるんだなって思った。
「それにしても、中山今日素直やね。面と向かって『ありがとう』言うやなんて。」
私を試す、挑発的な言葉。
「たまたまだからね。」
そんな言葉に、やっぱりツンツンした態度をとっちゃう私。
それでこそ中山だ、と言わんばかりに、広川は親指をピンと立てた。
広川と一緒にいる時間
広川からもらった優しさ
それらがどんどん私のなかで、存在を大きくする。
これが私の心で飽和して、溢れだした時――。
私も、言ってしまうんだろうか。
ドラマやマンガのヒロインのように、
『貴方が好きです』
って。

