「…!」
私は思わず口をぽかんと開けてしまった。
現在、私はカラオケボックスのソファーに座っている。
マイクを握っているのは広川くん。
普段の様子からは想像出来ない位甘い声で、バラードを歌っている。
思わずキュンとしてしまうくらい、甘い声。
しかも、凄く上手い。
他の二人も勿論驚いてる。
曲が終わって、広川くんはマイクを置いた。
「どう?俺上手いやろ。惚れた?」
広川くんは私の方を見て、ドヤ顔をした。
え、私にふるの!?
正直なところ…ちょっぴりドキドキした。
いつもとのギャップが大きかったのもあると思う。
でも、私はその気持ちを簡単に表に出せる性格じゃなかった。
「惚れてはないけど…凄く上手だったよ。」
つい可愛くない態度をとってしまう。
でも、そんな私の性格を見通してくれたのか、広川くんは嬉しそうに笑った。

