「「ありがとうございましたっ」」
43人の野球部員全員が龍の号令で一斉に挨拶をする。
小さな声であたしも言ったけど、さすが男とは感じずにはいられない気迫だった。
思わず、気後れした。
部員が着替えに入る間、部室から出て彩に今日の報告。
『何とかいい感じで終わった。これならイケるわ』
送信。
鞄から、家から持参のミルクティーを取り出す。
疲れたときにはこれが一番いい。
・・・って、あたしいつも飲んでるけど。
ストローをさしたまま、口にくわえて鞄を探った。
・・・・・・キャラメルがない。
あれ?などと、いいながら鞄をひっくり返してみたけど、ない。
持ってくるの、忘れたのかな。
首をかしげて、顔を上げると、
「わっ」
「なにやってんの?」
目の前には龍の姿があった。

