「でも・・・。」 まだ、龍の方を見ている彩が言った。 「敵は多いかも。人のこと言えないけど。」 その言葉とともに自分の視線が無意識に下に落ちた。 後ろから走ってきた自分と同性の子に無性に腹が立って。 関係もないのに、イライラした自分が、おかしかった。 変だった。 何も返事できずに、ただ、目の先にある、少年を見つめた。 「ま、負けることはないと思うけど。」 彩が、ぽつりと言った。 ・・・理解は、無理に近く、無駄にも近かった。 誰に向かって、言ってんのかな?彩ちゃんは。