「あのねー、あの人、結構忙しいって。」
ただでさえ、野球部キャプテン兼エースで大変なのに。3年ということもあって、受験や就職でも忙しいはず。
第一、別に来てほしくない・・・のかな??
「わかってるって。見てればわかるよ。」
窓の外のグランドを指差しながら彩が言った。
なぜか佐々木と思われる男子生徒と龍が歩く姿が目に入った。
・・・まだ、HR中でしょ。ばかじゃん。
「留衣ー。あの人のどこがいいの?」
「どこだろーねぇ・・・って、なにそれ。」
話に乗った自分にびっくりしたけど、彩の言葉の方が気になった。
「留衣は、何に対しても鈍いからねー。」
「それもどーゆー意味か分かんないし。てか、話聞いてる??」
「んーたぶん聞いてないなー。」
だめだこりゃ・・・。
首を傾げながら、正面に向き直った。

