あんたとあたし。





 ちらっと顔を見ると、さっきとは違う表情で。やさしい顔だった。
 どこか自分がほっとしたのわかって、おかしくて、不思議だった。


「聞いたのだと、男嫌いで酒癖が悪いとか?」

「あたし、最低じゃん。」


 笑いながら、二人で歩いた。

 案外、男って捨てたもんじゃないのかもしれない。
 今日の大地ってチャラ男も草食系も、そこまで、嫌な奴じゃなかった。

 あたしがちゃんと見てなかっただけなのかも。なんて少し思った。


 橘龍はやっぱり、どうみても普通の男の子で。修や祥志と変わらなかった。
 
 あたしが噂なんて、真に受けたのが悪いんだけど。逆に噂通りじゃなくてよかったんだけど。たぶん。

 ほんとに、自分がこんなに話せていることに笑えてきた。
 
 

 橘龍も電車を使うらしく、一緒に、改札を出た。

 反対方面のホームに降りる、あたしたちはそこで手を振った。