「別に、教えてもいいけど、男からのメールも電話も、たぶん返さないし出ないよ?」
「それでもいいんだよ。」とチャラ男が言うと、うんうんとほかの二人もうなずいた。
本当は、男の連絡先なんて修と祥志だけで十分だって思ってたのに。
仕方なく、二人以外に男が登録されることとなった。
「あー、そうだ、橘龍っ!」
面倒くさそうに、後ろを振り返り「なに?」という。
顔はかっこいいのに、ほんと、ぼーっとしてんなぁ・・・。
「もうあと、20分で、11時。」
びっくりした顔で自分の携帯を確認すると、焦った感じで鞄を持ち「大地さん、失礼します。」とチャラ男に頭を下げて、あたしのいる出入り口に走ってきた。
「ありがと、桔川留衣。」
面識のないはずの橘龍が名前を言ってお礼を言うから、普通にびっくりした。
「なんで、名前知ってんの??」

