『わかってんなら、帰ってこいよ。』
「なにそれ、帰って来い?」
せっかく、気分も乗ってきて、これから飲んでやるって思ってたのに。
あたしは、三十路のオバサンか。
祥志はあたしが言いたいことを理解したらしく、しばらくぶつぶつ言っていた。
『・・・帰ってきてください。』
「よくできましたっ。」
ハートマークが付きそうなくらい、ルンルンで言うと「はやくしろよ」と言われ、電話が切れた。
若干、腹が立ちつつも、店に戻って、事情を説明した。
キャプテンがいる手前、同じ学校の先輩が料理もできないとなると幻滅するだろうと思い、料理ができないというところは伏せた。
「待って待って。留衣ちゃん、アドレス教えてっ。」
鞄を背負って、帰ろうとした時だった。
振り返ると目を輝かせたチャラ男、草食系、弘貴がいた。
・・・あたし、弘貴にもアドレス教えてなかったんだ。

