洗濯物を持って部室を出る。
「持つわ」と、龍があたしに手を差し出す。
ありがと、というと照れくさそうに笑った。
・・・ひとつひとつの行動に意識してしまう。
心臓、持たない。
洗濯が終わると、龍はそそくさと部屋を出て行った。
・・・なんだ、あいつ。
なんでか、がっかりしてる自分がおかしかった。
ふわふわした変な気分をごまかすために、部室の棚にあった資料をぺらぺらとめくった。
過去の優勝歴、出場した大会の詳細、歴代部員の名簿。
閉じようとしたところで、一枚の写真が落ちた。
「・・・あ。」
映っていたのは今より少し背が低く、幼い顔をした龍と2コぐらい上だと思われるマネージャー。
今じゃ想像できないくらい、笑ってる。
今の龍が無口だって言われるのとはかけ離れてて。
見ちゃ、いけない・・・よね。
不思議と、そんな気がして。
見ないふりをして、本棚の隙間に突っ込んだ。
その瞬間、部室の扉が開き、龍が戻ってきた。
「帰ってなかったの?」
居ちゃ悪い?、といたずらっ子のように笑うと、缶ジュースを差し出してきた。

