─おいっ─





遠くのほうで

大好きな人の声がする。










─おいってば─




大好きな大好きなあの人。








─海、起きろ─




…起きろ…?????











「あっ!?!?」



私あのまま

寝ちゃったんだ。





しかも…



「ったく、
なんでこんなとこで
寝てるんだよ。」





目の前には空。


最悪だ…。










空の顔を見てると

もっと泣きたくなる。





私は空の顔を

なるべく見ないように


帰ろうと思った。







「起こしてくれてありがと。
じゃあね。」



下を向いたままそう言って

私は靴を履き替える。







そんな私を

空は黙ってみていた。















…なんで

なにも言ってくれないの??





…私が君を

好きでいるだけで迷惑なら


もうこの気持ちは

封じ込めるから





だからお願い

無視はやめてよ。













そう心の中で願っても

やっぱり空は

黙ったままだった。