「なぁなぁ、
空って結局
海のこと好きなわけ??」





教室に入ろうとしていた私は

動きを止めた。












空の好きな人が

私…???





そんなわけないと思いつつ


そうであってほしいと

願っている私がいる。





だって空は

私の好きな人だから。

















私はその場から動けず

その会話を聞いていた。












「…なんで??」




「だって海完全に
空のこと好きじゃん。」






えっ!!!

ばれてたの??




私ってそんなに

わかりやすいのかなぁ。



恥ずかしい。

















「…あぁ。
そういうことね。」



普段から無口な空の

さらに低くて冷めた声が

私の耳に届いて。




…少し怖いとさえ思った。







だってその冷たい声で

いったい何を言おうと

しているの???


















「あぁいうあからさまな態度
はっきり言って
迷惑なんだよな。」

















大好きな大好きなその声は


みんなが帰った

静かな放課後の教室で



そう呟いた。