「おい……」
「!?」

 後ろから声をかけられパイプイスが少し動くほどビクリと反応した。

「……だれ?」

 恐る恐る顔を後ろに向ける。

「しっ黙ってろ」

 そこには、身を隠すようにして時弥の腕を縛っているロープを解きにかかっている男の顔。

「君は?」

 問いかけた時ロープが解けた。手首をさすり立ち上がると、その男も立ち上がった。

「……」

 ちょっとガッシリした顔つきだったが……なるほど、体格もガッシリしている。170㎝の時弥より15㎝ほどは高いと窺えた。歳は近そうだ。

「俺は向井 時弥」
「八尾 杜斗(やおもりと)」

 ぶっきらぼうに発して気配を探り時弥を奥に促した。

 2人はパレットの山の中に身を隠す。

「どうしてここに?」

 声を殺して時弥が訊ねる。